理科好きな人に絶対おすすめな趣味

小学校、中学校、高校、大学と、どこかで理科が好きになった瞬間があっただろうか。
それが物理、化学、生物学、地学と様々かもしれないが、もし化学以外で好きなものがあれば、ぜひ趣味として「釣り」を進めたい。

物理が好きな人

その人はルアーフィッシングや投釣りといったものが特に楽しいかもしれない。
物をより遠くへ飛ばすには風の抵抗を考えた最適な投射角を見つけ出す必要がある。
竿からルアーやオモリが解き放たれる一瞬のタイミングは物理的な理論もあるが、感覚が重要になってくる。
物理学と感性が融合する瞬間。
ルアーの場合、巻いていると竿先に抵抗を感じる。それはルアーの種類によって様々。その抵抗によって、ルアーもまた様々な動きをする。その動きをどう操りどう魚を惑わすかは釣り人次第。
魚をかける。その瞬間から魚と人間とのコンタクトが始まる。
結ばれているのは釣り糸のみ。
魚の抵抗は、竿の曲がりと糸の伸縮、そしてリールのドラグで発散させる。
もし人間側の選択を誤るとラインブレイクする。
糸そのものには太さによる強さがある。
その強さをしっかり分かった上で竿の選択とリールのドラグの強さを調整する必要がある。
糸が太すぎると魚の引きやルアーなどの仕掛けの感覚が伝わりにくくなったり、魚が糸を見切ることがある。
竿が強すぎると魚とのコンタクトはほとんど感じとれず、ただ棒で引いているような状態になる。
ドラグが弱すぎると魚を引き寄せられない。
すべてのバランスを、魚の種類や場所、天気を考えてチョイスする必要がある。
魚とのコンタクトを十分に味わいたいなら、
 魚の引き ≒ 竿の強さ+糸の太さ(張力)+ドラグの強さ
と考えるよりも、
 魚の引き > 竿の強さ+糸の太さ+ドラグの強さ
となる方が比べ物にならないほど楽しい。
ただし、魚に負ける危険が一気に高くなる。
また、糸は傷がつくとその強度が極端に弱まるのでこまめなチェックは必要。
ちなみに安物と高級品との違いは、竿だと感度や曲がり方、糸だと精度の高さ、リールだと強度とドラグ精度の高さが異なるため。
(なので、高い釣具を使っても釣果が上がるわけではない。)
へら釣りの場合、浮きの浮力と餌+ガン玉の重さ(=重力)がちょうど釣り合った綺麗な状態を作っている。
水中を無重力で浮いている状態になるので、少しでも餌に触れただけで浮きは動いてくれる。

生物学が好きな人

その人は、魚がどういうときに捕食するか、季節によってどういう動きをして、どうやって釣れるかを考え、観察するのが楽しいかもしれない。
魚は誰かの指示で毎回行動しているわけではなく、自然の原理で動いている。
そこに小魚がいるからフィッシュイーターの魚が集まる。
人間が出す不自然な音を水を伝って体で感じるので、魚は怯え、逃げる。
水温が下がればほとんどの魚は動きが鈍る。でも、そんな中でも普通に動く魚もいる。
広大な海で逃げ場はいっぱいあるのに、なぜか岸沿いに集まる。
何も障害物のないところにはほとんど集まらず、何かしらの障害物につく、もしくは回遊する。
季節によって脂のノリが違う。
魚の種類によって習慣、食べるもの、活動する時間帯、寿命とほぼ全てが異なる。
それに合った釣り方で釣れる場合もあれば、思いもよらないものが釣れたりもする。
これがまた楽しい。

地学が好きな人

その人は、潮の満ち干き、月の満ち欠け、春夏秋冬での水の中の変化、雨や風による釣果の影響を観察しながら釣りをするのが楽しいかもしれない。
大潮なら必ずよく釣れるか、といえばそうでもない場合がある。
春や冬にはなにもなかった湖底に、夏から秋にはぎっしりウィード(藻)が生えて釣りにならないこともある。藻そのものも多種多様があり、その種類によって魚の着き方が変わる。
温かい雨が降れば、冬から春にかけては魚が動きだすし、釣り人もにぎわい出す。
風が出たほうが水面の波で人の姿が水中から見えなくなり、魚のプレッシャーが減り釣果が上がる、またその逆もある。
ある程度場所が都会から離れると、天気のいいときにふと空を見上げるとものすごく星が綺麗に見える。
低気圧が来ると魚のいる層が変わることもある。
釣りをしていて風が変わると、雨が来るなと分かるようになる。
雷が近づくと、竿から音が鳴ったり静電気により糸が宙に浮くことがある。(この場合は即逃げること)
自然は太古から本来人間が感じ取っていたものを、現在でも教えてくれるような気がする。
それを釣りを通していろいろ教えてくれる。

化学が好きな人

では化学が好きな人には釣りは向かないのかということになるが、たとえば糸の素材でも大きく3種類存在する。(ナイロン、フロロカーボン、PE)
これらの糸を使い分けるとどこまで強度や感度が変わるか、またこれらとは異なる糸が出たときにどういった違いが出るかを、成分や製法の観点から考えてみるのも楽しいかもしれない。
なぜなら、釣りおいて魚と人とをつなぐのは今も昔も糸のみで、糸の技術は昔から数々の化学者によって考えられてきたと思うから。
また匂いのついたルアーだとどういうものが魚は好むかを試行錯誤するのも楽しいかもしれない。

最後に

考えついたごく一部の事例を挙げたが、釣り1つに関してもこれまで学校で学んできたことをいろいろと適用できる。
魚をただ釣るだけでなく原理などを考えながらやると、また違う楽しみが見えるかもしれない。